ある石川賢ファンの雑記

石川賢の漫画を普及し人類のQOLの向上を目指します

最近見た映画の話 スーパーマン (1978)

 最初に言い訳をさせてください。更新が滞ったのはリアルが色々忙しかったからです。あと今回石川賢じゃないのは何となく手持ちの石川賢漫画全て紹介し終わったら書くことが無くなるのがなんか寂しいと思ったのと単に今語りたくなったからです。あと更新はこれから土曜日くらいにします。

 

 スーパーマン。それはヒーローの代名詞。誰もが名前を知っていて、見ていなくてもなんとなくのイメージ多くの人が持っている。世界一有名なヒーローと言っても過言ではないだろう。誰もが知っている。だからこそ、今更知るべきだ。私はMCUほぼ全てとXMENとDCEUとティムバートンバットマンダークナイト三部作とアローバースを少々齧った程度のにわかだが、にわかだからこそ古典を知ることでより現行の作品を楽しめると思っている。石川賢を読んで海外SFを読んだ時もそんな感じだった。

 本作はかなり古い映画である。だからこそ現代人の私の目には新鮮に映った。かっこいいヒーローと素朴な青年の二つの顔を持つクラーク。そのまっすぐで牧歌的にも思える正義感は近年のヒーロー映画にはないものだと感じた。近いもので言えばキャプテンアメリカファーストアベンジャーだろうか。それと、新鮮に感じたのは救助シーンの多さと戦闘シーンの少なさである。本作は冒頭でスーパーマンと同じクリプトン人であり後の宿敵になるゾッド将軍が宇宙に追放され、クリプトン星の爆発から逃れる描写がある。しかし本作の出番はそこだけだ。対決は次回作の冒険編になる。つまり本作の範囲ではスーパーマンと殴り合える相手がいないのだ。だから、スーパーマンが戦闘をするシーンはない。強盗を捕まえる時も、あっという間に捕まえて強盗は何もできない。しかしヒーロー映画である以上スーパーパワーを使ったアクションは入れなくてはいけない。そこに入るのが人命救助のシーンだ。スーパーマンの初登場はヒロインであるロイスレーンがヘリの事故に巻き込まれた時である。その飛行能力と怪力で落ちゆくヘリを受け止める。有名な電話ボックスを使った変身シーンもこの時だ。そして、そのままヘリを助けた後、メトロポリスを飛び回って困った人を助けて回るのだ。破損した飛行機を支え、強盗を捕まえ、木の上の猫を降ろしてあげる。ミクロもマクロも関係なく、困った人を助ける。なんとも親しみやすい存在だろう。スーパーマンのヒーローとしての在り方をわかりやすく効果的に表現している。

 物語には浮き沈みがあり、ハレとケがあり、光と闇がある。相克が物語を生むのだ。スーパーマンの対極とはレックス・ルーサーである。スーパーマンが遠い星からやってきた正義なら、ルーサーは地球生まれの悪人である。彼の武器はその頭脳である。正面切っては絶対に勝てないスーパーマンを知略のみで倒す。それがルーサーのスタイルであり、矜持である。本作における彼の陰謀はスマートにしてユーモラスだ。二人の馬鹿な手下に悩まされながらも壮大な計画を実行する。手下の名前はオーティスとミステシュマッカー。従順さだけが取り柄の男と見た目だけが取り柄の女だ。そんな二人をうまく使ってルーサーは核ミサイルの進路を操作し、西海岸に落ちるようにセットする。西海岸が壊滅すればルーサーが持っている砂漠の土地の値段は急上昇する。巨万の富を手にするというわけだ。けれどそんなことをスーパーマンが許すはずがない。ルーサーもそれは重々承知だ。スーパーマンに邪魔させないために取った彼の策。それはシンプルにして冴えたやり方。彼は巧みな話術によってスーパーマンの心理を誘導し、クリプトナイトが入った箱を自ら開けさせたのだ。クリプトナイトはスーパーマンの故郷クリプトン星の破片であり、スーパーマンの身体能力を常人以下にまで落としてしまう。スーパーマンはプールに落とされ、窒息の危機に陥る。果たしてスーパーマンはどうやってこの危機を乗り越えるのか!

 まあ古い映画なのでネタバレはいくらでも転がっているだろう。しかし、自分の目で確かめて欲しい。衝撃のラストと言うわけでもないがスーパーマンであり、クラーク・ケントの選択として非常に納得できるものだ。ヒーローであり人間、今日にまでつながるヒーロー物のお約束がきっちりと描かれている。私が考える本作の魅力は王道の面白さを高水準で描き切っていることだ。一つ一つのセリフ、画造り、俳優の演技それらが魅力的に作られている。カンペを逐一見ているのを感じさせないマーロン・ブランドは間違いなく名優である。主演のクリストファー・リーヴの芋臭さとハンサムさの切り替わり、直球でヒーローらしい振る舞いとそれを嫌味に感じさせない愛嬌のバランスが素晴らしい。個人的な好みとして、クラシックな特撮描写もいい。

 ぜひ見てくれ。そして面白いと思ったらティムバートンのバットマンも見てくれ。

 

 

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video