ある石川賢ファンの雑記

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『ゲッターロボ アーク』キャスト発表記念オンライントークイベント感想

 昨日、オンラインイベントにて多数の情報が発表されました。その内容をここで懇切丁寧に解説しても実際視聴する方が何倍も楽しいと思うので説明記事なんて絶対に書くことはないです。ではここで何を書くのか。それは私個人が感じた見所と私が定義するゲッター及びスーパーロボットの理念と文法です。

 まず一つ、嬉しかったことは本編放送に先駆けて、内田雄馬氏の拓馬の演技が聞けたことです。と言ってもそんなに長いセリフではありません。しかし重要な一言です。それは「ゲッタートマホーク」です。ゲッターロボの代名詞と言える武器、それがゲッタートマホークです。斧を武器とするロボットと言えばゲッターかザクと言っていいでしょう。そして、ザクの、いやガンダムに出てくるパイロットは基本的に武装名を叫びません。未来世紀の奴はガンダムファイターですし刹那はガンダムです。そんなわけでトマホークと叫ぶ現場はほぼゲッターに限られるのではないでしょうか。ゲッターと言えばトマホーク。トマホークと言えばゲッターです。つまりこの一言でゲッター声優としての真価が問われるということです。内田氏のゲッタートマホークはなかなかいいものでした。正直今までの役柄とはかけ離れたものですし、あまり期待していなかったのですがその不安を吹き飛ばしてくれるゲッタートマホークでした。いや、竜馬ではなく拓馬という点を加味するならかなりいいキャスティングでないかと思います。なせなら、拓馬は二世キャラだからです。求められるのは新世代の若さ、初々しさ、そして伸びしろです。羽化する前のさなぎのような、滝を登る鯉のような、未熟さの中に光る将来性、期待を感じさせなければいけないわけで、その点を満たすには内田氏の爽やかな声が合っている。私はそう感じました。また、奇遇なことに内田氏は当初カムイ役でオーディションを受けたそうです。実はOVAシリーズで竜馬役を演じた石川英郎氏も二号機パイロットで受けたと語っていました。不思議な縁がありますね。とにかく動画を見て内田氏のゲッタートマホーク否! ゲェェッターァァァトマホウゥゥゥクを聞いてください。

 次に私が注目したのはキャラデザインに対する言及です。プロデューサーやキャラデザイン担当が念入りに語っていたことは、原作通りにということです。より石川賢先生の漫画に近く、そのまま動かすように、ということでした。私はその思いに感服しました。石川賢先生への深いリスペクトと、現代で石川賢作品は通用する、通用させてみせると言う覚悟が感じ取れます。キャラデザインに関してはOVA三作を通してかなり原作に近付いていったと思っていたのですが、今回はさらにその先を超えて忠実な再現を目指したものとなっています。これですよ、これがゲッターなんですよ。特に興味深かった部分はキャラデザ担当が描くうちに声が聞こえてくる、と言う点でした。今までは最新の絵柄とすり合わせる作業に苦しんでいましたが、今回は一つの答えに向かって突き進むのでその心配がない。そうそう、それでいいよと声が聞こえるという事でした。それはきっと虚無の果てに旅立った石川賢先生の声なのでしょう。私もいつか聞いてみたいものです。

 イベント内で私が一番熱中して聞いたのは石川英郎氏の竜馬に対する思いの件でした。ゲッターチームの三人。それぞれ表すなら二号機は知性担当、三号機はパワー担当、そして一号機、自分が演じる竜馬は勇気担当ということでした。竜馬の勇気、その言葉の意味はロボットアニメの原点に通じる真理があると私は思っています。竜馬の勇気は無謀ではない、確信と信頼の上に立つ勇気である。三人がそれぞれ足りないものを補って、一つの正義を百万パワーにすれば勝てない敵はない。その確信があるからこそ無茶をやれる。そんな勇気なのです。竜馬は勇猛果敢で敵を見れば真っ先に突っ込んでい行くキャラですが、その根底には仲間への信頼と本人なりの勝算があってのことだと。まさに私が思っていたイメージそのままです。私が思うに、ロボットアニメとはロジカルなものなのです。スパロボや後年のパロディや憎っくき中島かずきのせいでスーパーロボットと言えば叫んで精神論で何とかするものという偏見があります。私はそれに異を唱えたい。ロボットアニメはロジカルなのです。なぜそう断言できるのか、それはロボットアニメが科学への憧れから生まれたものだからです。科学とは再現性と法則に則って成立するものです。ロボットが科学への憧れから生まれたものである以上、その存在はロジカルなものであるはずだ。マジンガーZの一話をまず見て欲しい。一話は公式チャンネルで無料配信されているので手軽に見れる。マジンガーZの一話とは、その世界にマジンガーZというロボットが初めて生まれる物語である。設計者である兜十蔵博士が死亡してしまった段階で、その存在の全容を知る者はこの世に誰一人としていない。つまり、マジンガーZに対する謎解き、解明が第一の課題となるのだ。その法則、仕様を解き明かし再現性を証明していく。この過程こそ科学だ。マジンガーを科学していくのだ。一話の段階ではまだまともに歩くことすらままならない。スーパーロボットの誕生は科学と共にあったのだ。そして、それからの物語の構成もまた科学である。マジンガーという新しい科学法則に則って話は作られる。そして、ドクターヘルの作戦もまた理に適ったものであり、それに対応するのも光子力研究所によって練られた理に適った作戦や新武装である。理論と理論の応酬、それが、マジンガーだ。そしてパイロットはその理論を成立させるための力である。低い確率にも賭ける勇気と作戦を成功させる技能、土壇場の機転、メンタルコントロール、多くの要素が混ざり合って勝利を捥ぎ取るのである。その流れを汲んだゲッターもまたロジカルである。まず作戦、勝算ありきなのだ。それが低くても挑まねばならないなら躊躇しない度胸と怖気付かない気迫、それこそが熱血であり勇気だ。東映版も漫画版もまずは相手を分析し、それを基に作戦を立てて、最後は現場にあるものに賭ける。それこそがスーパーロボットなのだ。勇気ではあるが無謀ではない、確信あって命を懸けるという石川英郎氏の竜馬の解釈はこれ以上なく正しい。その深い理解が演技に反映されているからこそ、今現在竜馬と言えば、あの凶悪顔の竜馬と言えば石川英郎氏だと周知されるに至ったのであろう。

 最後に、ファンとしてニヤッとした部分を紹介しよう。それはゲッターロボ以外のダイナミック作品を語る場面である。それぞれの推し作品を語り合うおじさん達が微笑ましかった。石川英郎氏がへんちんポコイダーだが幼少期から大好きだという。確かにあの作品は男児の心を掴んで離さない不朽の名作だ。変則的にだがついにはその役を演じることができるという夢を叶えたのである。いい話だ。キャラデザ担当の本橋氏はキューティーハニーデビルマンなどの名作を挙げながら、憧れからダイナミックプロの門を叩いた思い出を語っていた。石川賢先生の人柄が垣間見える貴重なエピソードだ。プロデューサーの南氏は極道兵器は最高というこの世の唯一絶対の真理を語っていた。流石だ、と感心した。

 とにもかくにも見るに限る。例え見たとしてもまた見た方がいい。私がこの記事で書いた見所に注目したらもっと楽しめるだろう。もう知ってるよと言う方は物事をよく見ている人だ。すごい。尊敬する。

 そんなこんなで今すぐ見よう。さあ見よう。

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