ある石川賢ファンの雑記

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勝手に応援記事 プリキュアよ、マジンガーZになれ!

 先日、プリキュアシリーズ新作の「ひろがるスカイ!プリキュア」の新情報が発表された。その中でも耳目を引いたのが初の男性プリキュアと成人プリキュアだ。この場合はレギュラーメンバーで地球基準のことを指す。と言わないとめんどくさいオタクがぐちぐち言ってくる。長く続くシリーズの中での新しい試み。賛否両論が巻き起こるのは当然のことだ。メインターゲットではない私が口を挟むのは烏滸がましいと思うけれども、私は賛成だ。続くという事の本質は変わり続けることである。枠組みの中で新たなものを生み出し、枠を拡張していくことこそがシリーズのあるべき姿だと思っている。

 とまあそこに対する危惧は今のところ薄い。私の見る範囲では概ね好意的だ。プリキュアシリーズも年々新しいものを模索してきたし、今回踏み切ったのも去年のデリシャスパーティプリキュアのクックファイターなどの反響を受けてのことであり、その土台はしっかりと作れていたと言えるだろう。では、何故私はこの記事を書いているのか。それは怒りだ。怒りをこの世界に刻み付ける為だ。私が何に怒っているのか。それはキュアウィングやキュアバタフライにかけられる一部の声だ。それは暴太郎戦隊ドンブラザースのキジブラザー/雉野と比較する声だ。雉野はシリーズ初の男性ピンクという立ち位置ながらそれが霞むほどの個性を持ち、戦隊シリーズの中でも唯一無二の存在となったキャラだ。同作は私も見ているし楽しんでいる。アギトから響鬼で育った私は魂に井上敏樹が刻み込まれているのだ。勿論雉野も好きなキャラだ。しかしながら、プリキュアがそれを見習う必要はないと思っている。この言葉の意味するところが仲間を売ったり私怨のある相手を事故を装って殺害しようとするようなキャラになるなという意味と史上初という要素が霞んで消えるほど濃い味で塗りつぶすなという意味。どちらかと問われれば、どっちもだ。ドンブラザースも雉野も好きだし、男性ピンクを出したことには大きな意味があるとも思っている。だが、もっと別のやり方があったとも思っている。雉野はいいキャラだ。しかし、ある見方では大きな伸びしろを捨ててしまったキャラと言える。それは、男性ピンクという大きな要素をドラマに全く活かさなかったからだ。属性と向き合うということは大きなドラマであり、見る者の感情を想起させる。使いようによっては面白いドラマを作ることもできるし、実際成功例もいっぱいある。それに史上初は一回しかできない。ならその史上初を使わないということはもったいなく思えるのだ。雉野はいわば雉野という濃すぎる味で全て塗りつぶしてしまったキャラとも言えるのだ。おそらくは、戦隊じゃない他の作品にいても雉野の立ち位置は雉野だ。

 だから言おう、雉野は一人だけでいい。確かに、史上初であること以外語られないキャラになってしまってはつまらないだろう。そういう考えから雉野みたいにそこ以外の魅力を持てと言うのはわからなくはないが短絡的だし唾棄すべき安易で愚かな考えだ。ならどうしたらいいか、というより私が何を勝手に望んでいるかと言うと、男性であることや成人であるだけではない魅力を持ちながら、男性のプリキュアでなければ、成人のプリキュアでなければ成り立たない。そういうキャラになって欲しいのだ。ちゃんと属性と向き合いそれを活かした話作りをして欲しい。だから私は雉野になるなと言っているのだ。例えばマジンガーZだ。世界初のスーパーロボットである本作はその初であることを十二分に活かした作品だ。世界に現れたマジンガーZという前代未聞の存在を深掘りし、その強みと弱みをじっくりと描き、描き切った。後世のロボットアニメにまずマジンガーZがやってないことはないかと探させるほどの強い影響力を持った作品となった。なぜそうなったか、それは前例がない故の手探りの試行錯誤によるものだ。先入観がないからこそ、後世でお約束と呼ばれるものに縛られない自由過ぎるドラマ作りができたのだ。もちろんマジンガーZはそれだけにとどまらない魅力を持っている。兜甲児のまっすぐな善性と勇気。ダイナミックな戦闘シーン。大きな力を持つこと、神にも悪魔にもなれるという鮮烈なキャッチコピーと重厚なテーマ。どれも素晴らしい。属性との向き合い方なら、海外ドラマのスーパーガールが参考になるだろう。種族、ジェンダー、人種、生まれ、それらの属性をキャラクターの核としながら魅力的な描き方を実現できている素晴らしい作品だ。主人公のカーラは地球人でないことや女性であることから生まれるドラマ、問題に向き合い、それを乗り越えていくことでその強さ優しさを描き、その属性である意味とそれだけに留まらないキャラクターの魅力の構築に成功している。また、本作初出のキャラクターとしてドリーマー/ニア・ナルというキャラクターがいる。彼女は一族の女性にのみ受け継がれる予知夢の能力を受け継いだトランスジェンダー女性だ。それ故に妹と微妙な関係性にあり、そこが彼女の根幹になっている。ヒーローであること、継承すること、そしてトランスジェンダーとして生きていくことをドラマの中で描き、その属性でなくては成り立たないこととそれだけでない魅力、そして史上初である意味を全て活かしきっている。こんな挑戦がもっと増えればいいと思っている。手探りは今しかできない。史上初であること、成人であること、男性であること、それもキャラの伸びしろで強みなのだ。ちゃんと属性に向き合え! 日和るな! それであることと、それである以上の魅力を持つことは両立する。できる。私はプリキュアを愛しているからこそ、プリキュアにはそれができると信じている。

 

 

 

 

マジンガーZになれ!