ある石川賢ファンの雑記

石川賢の漫画を普及し人類のQOLの向上を目指します

石川賢紹介 第一回 ゲッターロボ

               「ゲッターロボ

 

オリジナル版 ゲッターロボ (1) (復刻名作マンガシリーズ)
 

 

 今回紹介するのは石川賢の代表作であるゲッターロボサーガの第一章「ゲッターロボ」です。本作品はやデビルマンと同じようにアニメとコミックを同時スタートさせるメディアミックスの一環として生まれました。しかしこれを書くのは石川賢。アニメと同じものを描くなんて日和ったことはしません。戦友たる永井豪デビルマンでそうしたように、テレビでは見れない、テレビではやれない漫画を描く。それこそがダイナミックプロでした。

 まず冒頭からしてテレビとは180度違います。テレビ版の主人公流竜馬はサッカー部のエースで正義感に燃える熱血漢です。一方漫画の竜馬は空手の達人である父親から虐待のような特訓を受け、まさに超人と言える強さを身に着けます。そして、空手大会に殴り込むのです。全ては危険な実践空手にこだわりスポーツ化する空手界を追放された父親の恨みを晴らすため!牙の抜かれた空手家たちをバッタバッタと薙ぎ倒し、空虚に輝くトロフィーを握りつぶし、去ってゆく。勝利したにもかかわらず、竜馬は虚しいだけです。思えば、父親から貰ったものは空手だけだった。空手のために、奴らに恨みを晴らすこの日のために生きてきた。けれど終わってしまえばあっけなく、何の意味もない。残されたのは世間に馴染めない男一人だけ…。

 なかなかハードな展開です。しかも竜馬の行いは正義のかけらもない乱暴狼藉。しかし、その純粋な暴力こそがゲッターロボパイロットには必要なものなのです。ハチュウ人類との生存競争には正義も悪もない。ただ力ある者が勝つのです。そんな竜馬に目を付けた早乙女博士は殺し屋を送り込み、力を試します。見事返り討ちにしたことを確認すると竜馬を拉致します。これが一話に詰め込まれるスピード感!これこそ石川賢の味なのです。これがいいと感じれば、貴方はもう石川賢の虜になる!

 ここまで熱く語りましたが、少しクールダウンします。ゲッターロボの魅力、ゲッターロボサーガの一章としてではなくゲッターロボ単体での魅力を言語化するとしたら、それは竜馬、隼人、武蔵のバランス感です。石川賢を語る時よく引き合いに出されるのは迫力のある絵やインパクトのある展開ですが、私は敢えて人物の描写に注目します。竜馬については先ほど書いた通りで、隼人は天才故に虚無感を抱えて学生運動をしていました。そんな狂人二人を曲りなりにヒーローにしたのはゲッターロボと言う行き所のない力を発散させる場と武蔵のおかげだと私は思っています。武蔵のひょうきんでおおらかな性格は二人にとってかけがえのないものだったでしょう。猪突猛進な竜馬とニヒルな隼人、それを和ませる武蔵の器。その人物関係のバランス、そして絆を抱いていく心情の動き、それがゲッターロボの魅力だと私は思うのです。本作が石川賢入門書としてよく挙げられるのは知名度ゲッターロボサーガの始まりと言うだけではなく、この登場人物のバランスの良さ、読みやすさにもあると思うのです。

 いかかでしょうか。この記事で少しでもゲッターロボ石川賢の興味を持ってくれたら幸いです。これからも石川賢の漫画を紹介する記事を書いていくので、よかったら一読お願いします。私の記事が皆様QOLの向上に貢献できれば幸いです。

よい石川賢ライフを!