ある石川賢ファンの雑記

石川賢の漫画を普及し人類のQOLの向上を目指します

石川賢紹介 第十二回 伊賀淫花忍法帳

 「俺は天下のホモだぁ~~!」

 

 上野の国、山神藩は銅山を有し、代々女達が力を持つ土地だった。そこに建つ小神城はくのいち城とも呼ばれる。そんな山神藩の銅山から黄金が発掘された。それを放っておく幕府ではない。藩主山神善之助に男児がいないことをおとり潰しの口実として幕府は銅山を手にせんと刺客を送り込むも、せんずりしかできない無残な姿で送り返されてしまった。山神藩を守るくのいち達に対抗するため、服部半蔵は二人の腕利きの忍者を招集した。一人は美女丸、生粋のホモである。くのいち共の忍法をものともしない、まさに天下のホモである。もう一人は魔羅の子天狗。丸太のような逸物を持ち、突っ込める穴ならなんにでも突っ込み、四十里を駆けながら老若男女獣鳥獣草木を問わず犯し続ける底なしの精力を持つ忍者である。対するは山神御目子率いるくのいち軍団。それぞれが必殺の忍法、もとい淫法を使う手練れである。果たして、勝利を手にするのはどっちだ!

 あらすじだけ書いて、なんだか頭が沸騰しそうになるのを感じた。しかし逃げるわけにはいかない。これまではシリアスな石川賢漫画を紹介してきた。しかし、石川賢の魅力はそれだけではないのだ。本作のようなお下劣ギャグや不条理ギャグもまた石川賢の神髄である。石川賢のすごさとは、こんなにふざけた内容でも納得できてしまうほどの説得力である。大迫力で描かれるお下劣忍者バトルは正に圧巻である。敵の首領山神御目子が使う忍法暗黒洞のシーンは正に壮大、強烈、圧倒的な力で品性を破壊する。オマ〇コをブラックホールに変えて周りにある全てのものを吸い込み潰してしまうのだ!

「宇宙で泣け!」

 ブラックホールのでどころが違ってさえいれば最高にかっこいいセリフである・

子天狗が使う魔羅忍法は正に品性下劣、破廉恥の極みだ。しかし、そんな魔羅忍法が石川賢の画力によって描かれることで計り知れないパワーを持つのだ。横山光輝白土三平に強く影響を受けたスピード感溢れるアクションで犯しまくる! 冒涜的かつ挑戦的、そして何より石川賢的!それが石川賢だ。そんな子天狗の酷い描写とは打って変わって美女丸の戦闘をシリアスである。戦う敵も返り血を浴びせて固まった血で敵を拘束する忍法血ヨロイなんて山田風太郎作品の忍者みたいな技を使う。そしてなにより、敵の色香に惑うどころか喜んで突っ込んでいく子天狗とは違い、美女丸は全く惑わない。ただ冷静に敵と戦い、殺すだけだ。一見すると出る作品を間違えているような男だが、そんなことはない。彼は天下のホモである。初対面から子天狗の逸物にメロメロである。隙あらばいちゃいちゃしてとろけた顔を見せている。しかし、二つの場面で美女丸は変わる。一つは女を相手にした時、もう一つはホモを馬鹿にされた時である。彼を笑った者は次の瞬間首と胴とが泣き別れである。けれどそれで止まる美女丸ではない。

「ホモがそんなにおかしいかぁ~!」

「ホモを差別するなあ~!」

「ホモにも人権を~!」

 なんと人道的でリベラリストな男だ。そんなことを叫びながら既に死んでいる敵どもを更にバラバラに切り裂き、それでも止まらない。止められるのはただ一つ、子天狗の魔羅忍法珍静剤だけである。

 どうだろう、紛れもなくこの漫画の主人公に相応しい男ではないか。ここまで読んで興味を持った貴方は石川賢上級者の素質ありです。

 石川賢渾身のお下劣忍者バトル漫画伊賀淫花忍法帳。ぜひご覧になって下さい。

 よい石川賢ライフを。