ある石川賢ファンの雑記

石川賢の漫画を普及し人類のQOLの向上を目指します

石川賢紹介 第三回「ゲッターロボ號」 日本編

 

 「ゲッターロボ號」

 

 

 ついにこの時が来ましたね。「ゲッターロボ號」ゲッターロボシリーズひいては石川賢作品の中でも最高傑作と名高いこの作品を紹介していいものか、私如きが表現できるものか悩みますが、悩みましたが、やってから考える方が石川賢らしいと思って書くことにしました。

 まず號と言えば主人公チームの交代が一番大きな要素でしょう。一号機パイロットの號は有り余る暴力を日常の中で持て余した男。司令官となった隼人にスカウト(拉致)されて戦場に自分の居場所を見つけます。二号機パイロットの翔は世界征服を企むプロフェッサーランドウに兄を殺され復讐を誓った女剣士です。まさかの女性メンバーですがその強さは十分、新入りの號に対しゲッターチームのやり方を叩きこみます。三号機パイロットはエンジニアの凱。普段は温厚ですがマシンを大切にしない人間には拳で扱い方を教え込む熱い男です。この三人が悪のメタルビースト軍団に立ちむかう最強の戦士達、新ゲッターチームです。

 新型ゲッターロボパイロット三人の名前から取った號、翔、凱の三形態に変形します。そして、なんと動力にゲッター線でなくプラズマボムズと言う新エネルギーを使っているのです。なぜゲッター線を使わないのか、それは物語の最後にわかります。竜馬が研究所にいない理由、弁慶はどこに消えたのか、なぜ隼人が負傷しパイロットになれなくなったにも関わらず自衛官となりゲッターにこだわり続けるのか、その理由は物語終盤に出てくる旧研究所に詰まっているのです。

 さて、ストーリーに入りましょう。始まりは南極、プロフェッサーランドウは宇宙開発の名目で南極の基地に集め研究をさせました。その中には隼人や、後のゲッターチームである翔、その兄真一や父もいました。しかしその真の目的は世界征服のための要塞蛇牙城を作らせることでした。それに気付いた隼人は仲間と共に脱出を図ります。敵を翻弄し、基地を破壊するも、隼人は傷を負い、翔の兄真一を失ってしまいます。ランドウの野望を知った隼人は日本に帰ると新たなゲッターロボを作り戦いに備えます。

 ついにその日はやってきた。ランドウはメタルビーストを使って日本に侵攻を始めます。隼人は三人のゲッターチームをスカウトし、それに対抗したのです。これが戦いの始まりです。ここから三つの章に別れて戦いは展開していきます。

 まず日本編、私が持っている双葉社のワイド版ではちょうど一巻の範囲に収まってて切りがいいですね。號のスカウト、凱の加入、翔と隼人の過去などが描かれてそれぞれの戦う理由が掘り下げられます。特に翔の過去を知り三人が一つになる回は素晴らしいです。またこの回はゲッター翔が敵をドリルで貫く見開きが素晴らしく、ドラマの盛り上がりに相応しい力強さのある画です。ドラマとビジュアルの相互効果、それこそマ㎜画力です。そうして関係性を構築した次の瞬間に状況を動かす。このスピード感こそ石川賢節であり、内容を詰め込める理由でもあります。ランドウは陽動作戦によって爆弾型メタルビーストを日本に上陸させることに成功します。その要求は日本の支配権の譲渡、そして何よりも先にゲッターロボを渡すこと。それはランドウがゲッターロボを恐れている証拠でもあり、日本が狙われた理由でもあります。国民の命を守るため出撃できないゲッターチーム。しかし渡してしまえば対抗できない。あの狂犬隼人さえも悩み、上からの指示を待つしかありません。しかし號は違いました。誰もできないなら自分がやるしかない。一人ゲッターを持って飛び去ろうとします。荷作りの最中、翔が背後に立っていました。彼女もまた覚悟を決めていましたそして凱も。格納庫に行くと整備士の面々が待っていました。次々に食料や毛布の餞別を渡します。彼らの心は一つ、皆がゲッターチームなのです。ランドウに渡すよりはこの方がずっといい。隼人はそれを見ていました。號の目の前でニヤリと笑うと、銃声が響きます。天井に向かって撃たれた弾丸、それは祝砲。ランドウを撃った銃を號に託し、芝居の指揮を執り始めます。整備士たちが騒いで混乱させているさなか、ゲッターロボは飛び立つのです。行き先は、アラスカ。最も危険な戦場へ。

 どうでしょうか、導入、人物紹介、チームの絆、そして新章に向けての理想的な引き。完璧な構成です。日本編だけでもかなりの満足感です。しかしまだまだ続くよ戦いは。もっと激しく、もっと面白くなったアラスカ編が貴方を待っているのです。

 アラスカ編の内容はそれこそ今回とは比べ物にならないほど濃密なので、次回、記事一つ使って紹介します。乞うご期待。

 よい石川賢ライフを!